
歯周病治療・予防歯科
歯周病治療・予防歯科
当院では全ての人が歯周病の正しい知識を持ち、歯周病の人もそうでない人も一度検査を受け対策していただければと考えております。そうすることで、将来起こりうるリスクを大幅に軽減することができます。
歯周病について下記の6つを知っていただきたいです。
歯周病は、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの間に溜まる歯垢(プラーク)の中の細菌によって引き起こされます。歯周病の進行に伴い細菌が増殖し、やがて炎症が広がり骨を吸収してしまい大切な歯を奪ってしまいます。
歯周病は歯ぐきの病気と思われがちですが、実際は歯を支えている骨を溶かしてしまう病気です。
歯は歯ぐきではなく骨で支えられています。どんなにむし歯がない健康な歯や、高額な被せ物をした歯でも、骨がないと歯をお口の中に留めておくことはできません。
一度なくなってしまった骨は回復が困難です。条件が整えば、再生療法で人工の骨や、骨ができるよう誘導するお薬で、ある程度回復することができます。しかし、基本的にはこれ以上骨を喪失させないということが、歯周病治療の目標になります。
歯垢(プラーク)1㎎の中には約10億個の細菌が住み着いているといわれ、むし歯や歯周病を引き起こします。その中でも歯周病を引き起こす細菌が多く存在しています。歯周病菌は酸素を嫌うので酸素の少ないポケットの深いところに住み着きます。
歯周病菌が肺や血液を通じて全身をめぐり、様々なトラブルを引き起こすことがあります。病気の原因を探していたら、なんとそれが歯周病だった…というケースも少なくありません。例えば糖尿病、骨粗しょう症、腎不全、動脈硬化、などがあります。
治療・予防のメインとなるのがお家での歯ブラシとプロによるクリーニングになります。ただし、歯石と呼ばれる石のように硬くなった状態では歯ブラシでは落ちません。実はこの歯石は細菌の塊です。歯医者さんでしっかり除去してもらいましょう。
痛くなくても、次のような症状がある場合には、歯周病になっているかもしれません。
このような症状がある方は歯周病の可能性があります。
歯みがきを中心としたセルフケアで改善しない場合、お早めの受診をおすすめします。
歯垢とは歯と歯肉の間に溜まる乳白色の粘性のあるもので、歯垢1mg中には2億ほどの細菌が存在するといわれています。また、口の中は栄養面や温度においても細菌が繁殖するには最適な場所です。
歯石とは歯垢が長期間付着し唾液中のカルシウムと混ざり合って石灰化したものです。栄養分を多く含みデコボコがあるので更に細菌や歯垢が溜まりやすくなります。また、とても硬質で通常のブラッシングでは取れませんので定期的に歯科医院での除去をおすすめします。
健康な状態
歯ぐきは薄いピンク色で、歯と歯ぐきの間に隙間(歯周ポケット)はなく、歯ぐきは引き締まっています。ブラッシング時に出血はありません。
軽度歯周病
歯ぐきに炎症が見られ、歯周ポケットが深くなります。痛みはありませんが、ブラッシング時や硬いものを食べると出血することがあります。歯ぐきは赤く腫れ、歯と歯肉の間にプラークが溜まります。
中度歯周病
歯ぐきの炎症が進行し、歯を支える顎の骨にも影響を及ぼします。炎症が慢性化し、骨が溶け始め、歯周ポケットが深くなり、歯がぐらつき始めます。口臭もあり、歯が浮いている感じがすることもあります。歯肉が赤く腫れ、変色がひどくなります。
重度歯周病
歯根を支える骨がほとんど溶け、歯周ポケットは非常に深く、歯がぐらつき、歯根が露出します。口臭が強くなり、膿も出ます。放置すると歯が抜けることもあります。歯肉は赤紫色に腫れ、歯と歯の間が広がり、食べものがよく詰まります。
最近の研究では、歯周病が様々な全身疾患と関係があることが分かっています。歯周病菌やその産生する毒素が血流に乗って全身に運ばれ、脳卒中や心疾患、糖尿病の悪化などのリスクを高めます。さらに、歯周病は妊婦において早産や低体重児出産のリスクを高めることもあります。
歯周病にかかっている人は、かかっていない人と比べて以下のリスクが高まるとされています。
歯と歯ぐきの間には歯肉溝という隙間がどんな方にもあります。
しかし歯周病になるとその溝が細菌の侵襲により徐々に深くなってしまい、そして細菌繁殖の温床になってしまうのです。
自分では決して気づくことができない、その歯周ポケットが深くなる兆しを、この検査では調べます。
歯周ポケットに先端が丸いプローブという器具を優しく入れて、その深さや検査時の出血の有無をなど測定する検査です。
日本歯周病学会の指標では4-5mmを中等度の歯周病、6mm以上を重症の歯周病と示しています。
当院では全ての方にこの検査をスクリーニングとして行い、病気の早期発見に努めます。
歯周病になると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてなくなってきてしまいます。
まだ歯がグラグラになってしまったりする前でも、レントゲンでは骨が溶け始める前兆もしっかりと見ることが可能です。
当院ではデンタルX線撮影、オルソパントモ撮影、歯科用コーンビームCT撮影など様々な高精度レントゲン装置を用いて検査を行い、しっかりとした診査診断を行います。
“記憶より記録”
当院が患者様の人生の健康パートナーとして向き合うために大切にしている理念です。
お口の中のご自身ではなかなか気づくことができないような変化でも、過去の記録と照合すればわかる情報もたくさんあり、その記録の蓄積がお口の健康を守る歯科医院としては何より大事なものになります。
歯みがきの仕方を知っているつもりでも、歯周病に対して効果的な磨き方をご存知の方は、実は少ないのではないでしょうか。
歯ブラシだけでむし歯や歯周病の予防はできないため、フロスや歯間ブラシの使い方もマスターする必要があります。
それらも含めて歯磨きの正しい方法を繰り返しお伝えすることで、少しずつ上達してお口の中が健康にキレイに変化していくお手伝いをします。
長年の習慣をすぐに変えることは難しいので、ゆっくり患者様と向き合いながら、少しずつでも改善を目指します。
歯周病の原因はお口の中に増加してしまった歯周病細菌です。
歯周病菌自体は日本人のほとんど全ての方のお口の中にいる細菌で、菌がいること自体は異常ではありません。
しかし汚れがなかなか取れずに歯石となり、その歯石の周囲にまた汚れが付着し、その細菌や炎症のせいで歯を支える骨が溶けてしまい、歯がだんだん揺れてきてポロッと抜けてしまう恐ろしい病…それが歯周病です。
歯周病治療で非常に重要な部分が、この歯石やプラークの徹底的除去になります。
歯ぐきより上の表面を水が出る機械でクリーニングしてもらった経験がある方も多いかと思います。
歯ぐきが健康な方はそれで全く問題ないのですが、歯周病の患者様はさらにその奥まで治療する必要があるのです。
歯ぐきの中に潜む歯の根っこの表面に付着した細菌を専門のインスツルメントで徹底的に除去し、そこに再付着・再感染しないように表面を滑らかに整えていく、専門用語で”SRP”、”歯肉縁下デブライドメント”という治療が歯周病治療の最重要項目になってきます。
数年〜数十年かけて付着した、この深い歯石を取り除くことは一朝一夕にはいかないですが、根気よく1箇所ずつ丁寧に施術を行うことで、目に見えないほど深くの歯周ポケットの中に潜んだ細菌の塊を取り除くことが可能です。
歯周病治療の最後の手段。それが歯周外科治療です。
歯ぐきの深いところまで侵入してしまった細菌はSRPでは完全除去が難しい場合もあります。
特に奥歯の分岐部(根っこが2つや3つに分かれている部分)などは、専門の歯科医師や歯科衛生士が行ったとしても、通常の方法では感染源の完全除去は困難とされています。そこで歯を失う前の最後の一手。それが歯周外科治療です。歯ぐきを切開し、直接の感染源となる歯石や汚染物質を直視し、それらを完全除去した後に縫合して治療するものになります。話だけ聞くと怖いものに感じるかもしれませんが、手術中は通常の歯科治療と同じ麻酔を充分量使いますので、術中痛みを感じることはほとんどありません。
※むし歯治療などと同じ通常の麻酔を使用しますので、全身麻酔などと異なり、治療後もそのままご帰宅いただけます。
歯周外科治療を受けることで数年から数十年かけて積もりに積もってしまった歯周病菌を徹底的に除去することが可能となり、他院で抜歯しかないと言われた歯に関しても、保存することができる可能性もあります。
歯周外科にたくさんの種類がありますが、その中の一つが歯周組織再生療法です。
非常に技術的難易度が高い手術ではありますが、成功すれば既に失ってしまった歯を支える骨やその周囲組織などを“再生“させることができる次世代の治療法です。
歯周組織再生治療薬を破壊された歯周組織に塗布するなどして、歯周組織の再生を促します。
治療が無事に終わった後は歯周病が再発しないための定期的なメインテナンス、歯周安定期治療にうつります。
歯周病菌やむし歯菌をお口の中から0にすることはできません。
一度歯周病が発症してしまった方は、治癒した後も再発のリスクが考えられるため、専門機関での定期的なメインテナンスの必要性が、世界的な歯周病治療の指針やガイドラインでも推奨されております。
重症度やリスクに応じて1〜3か月ごとの受診が、生涯にわたる歯と口の健康を守るために非常に重要となります。
患者様ごとのライフスタイルやリスクに応じて、オーダーメイドの予防方法をご提案いたします。
定期的にお口の中のお写真を撮影させていただき、患者様ご自身に見ていただくことで、自分の良い点や今後の課題などを大画面モニターで一緒に見て現状を知ることができます。
それらを見ながら今後の治療計画を一緒にイメージして、相談しながらプランニングしていきます。
歯肉炎、軽度歯周炎、中等度歯周炎、重度歯周炎、どの状態であっても歯周組織の改善は絶対です。
どんなに美しいインプラント治療や、きれいなセラミック治療を行っても、すべての土台となる歯周組織の健康がなければ、長期的に安定した状態を保つことは難しいといえるでしょう。きちんと歯周病と向き合って改善することで、将来的に長く自分の歯で食事ができる口内環境を維持することができます。自分の歯で噛めることは、全身の健康や脳の活性化にも良い影響をもたらします。歯周病治療において安易に治療期間を短くし、早期の問題解決を図るのは本当の治療のゴールとはいえません。歯周病の状態によっては、根気のいる治療となりますが、患者様と担当医で協力し合い、二人三脚で治癒というゴールに向かいましょう。
歯周病治療で起こるデメリットは、歯肉退縮による審美性の低下と知覚過敏です。歯周病に罹患している方は、3㎜以上の歯槽骨の吸収が認められる可能性があります。歯肉の位置は歯槽骨の位置に比例しますので、歯周病が進行するほど歯肉退縮が認められるようになります。歯周病で炎症状態にある歯茎は腫れあがっているため、治療前は歯茎が退縮してないように見える場合があります。しかし、治療が進み炎症状態が改善されると、歯槽骨の位置に比例して歯茎が下がってきます。その結果、歯の根が露出して冷たいものや歯ブラシが当たる刺激で知覚過敏症状が発生する可能性があるのです。かといって、歯肉退縮と知覚過敏が嫌だといって歯周病を放置しておくと、歯槽骨の吸収が進んで歯が抜けてしまいます。歯周病による口臭も発生してコミュニケーションにも支障が出てくることがありますので、早期に治療しましょう。
歯医者は、むし歯や歯の痛みが出た時に行く場所という認識をお持ちの方が多いですが、予防歯科はそれだけに留まりません。生涯にわたってお口の健康を守るためには、むし歯や歯周病を未然に防ぐことが非常に重要です。
予防の第一歩は、まず自分のお口の状態を知ること。定期的に歯科医院でチェックを受けることで、お口の変化に対応し、早期に予防策を講じることができます。お口は全身の健康にも大きく関わっており、健やかな食生活を続けるために、自分の歯でおいしく食事ができるようにしましょう。
予防歯科の中心は定期健診とセルフケアです。フッ素塗布や口腔内診査、歯垢や歯石の除去(PMTC)、歯磨き指導などを行います。セルフケアだけでは、歯垢や歯石を完全に取り除くことができません。ちゃんと磨いたつもりでも、思わぬ磨き残しがあるのです。そのため歯科衛生士や歯科医から正しいセルフケアを教えてもらいましょう。
自宅でのセルフケアとしては、力を入れすぎて磨かない、すすぎの際にすすぎすぎてフッ素を落としてしまわない、歯茎や口に合った歯ブラシを選ぶとともにデンタルフロスを活用して歯垢をしっかり落とす、デンタルリンスなどを使ってむし歯の原因になる細菌を増やさないことです。歯科医院にて正しく指導してもらいましょう。
お母さんに出産前後の歯の健康についての知識を身に着けてもらうことで、出産のリスクを高めないこと・赤ちゃんのむし歯を予防し口の健康を守ることができます。
妊娠中に気をつけたいことの一つにお口のケアがあります。
妊娠中に増加する、女性ホルモンのエストロゲンが歯肉を形作る細胞を標的にし、また歯周病原細菌の増殖を促すことが知られています。
また妊娠中は唾液の量が減り、妊娠中期から後期にかけて女性ホルモンが増加するため、さらにリスクが高まります。出産とともに戻りますが、清潔な状態を保つことで炎症を抑えることができますので、プラークコントロールを心がけてください。予防可能な疾患ですので、赤ちゃんのために確実な歯周病予防を行いましょう。
予防には、毎日のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアの両方が不可欠です。日常的な歯磨きやフロス、歯間ブラシを使ったケアが基本ですが、歯の溝や歯と歯の間など、磨きづらい部分に汚れが残りやすいです。そのため、毎日歯磨きしていてもむし歯になることがあります。定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることで、自分では取りきれない汚れを取り除き、正しいセルフケア方法を確認することが重要です。
歯石は歯垢が石灰化して固まったもので、一度できると自分で取り除くことはできません。専用の超音波スケーラーを使用し、歯の表面や歯周ポケット内の歯石を取り除きます。熟練した技術で行い、歯の表面が傷つかないように細心の注意を払います。
フッ素は初期むし歯の再石灰化を促進し、むし歯菌の活動を抑える効果があります。成人のむし歯予防にも有効で、定期的なフッ素塗布が推奨されています。
バイオフィルムがホームケアで除去しきれないといっても、バイオフィルム形成を予防するためには、やはり日々のホームケアが基本となります。また、正しい食生活と規律正しい生活など基本的なことが重要となってきます。簡単なようですが、本人が自覚をもって取り組まないとむずかしくなります。
お口の状態は一人ひとり異なるため、個々に合ったケア方法をお伝えしています。歯磨きの方法や使用する歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスの選び方など、患者様に最適なホームケアを提案します。
毎日の歯磨きで歯垢を取り除くことが最も基本的な予防方法です。歯ブラシの選び方、持ち方(ペングリップ)が重要で、月に1回のブラシ交換も推奨します。
歯磨きをしっかり行っていても、歯垢は約60%しか除去できないとされています。
そのため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが効果的です。
歯と歯の間の汚れを落とすために、歯ブラシでは取りきれない部分にフロスを使います。ホルダー付きのフロスも便利です。
歯と歯の隙間に適した歯間ブラシを選んで使います。特に、ブリッジの下部分のケアに役立ちます。
キシリトールにはむし歯の原因菌の活動を抑制する効果があります。食後にキシリトール配合のガムを噛むことでむし歯予防ができます。
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